賃貸アパート経営中のオーナー様へ:怠ると怖い消防点検!

消防設備点検

賃貸アパートをオーナーとして経営するにあたって、消防点検について詳しく理解しておく必要があります。

消防点検を怠っていると、もしものときに避難が遅れて被害が大きくなってしまい、最悪の場合オーナーが刑罰に問われる場合もあります。

今回は消防点検の重要性やどのような設備があるのかなどを解説していきます。

火災防止のために義務付けられていること

建築物を建てた場合、用途や規模によって火災防止のための措置が変わります。

そこに入居したり、テナントとして借りて事務所にしたり、または飲食店など不特定多数のお客さんを招いて商売をするなど、様々な状況が考えられます。

どのような義務があるのかを見ていきましょう。

防火管理者の設置

防火管理者とは、その建物の管理権限者から専任され、火災予防のために必要な業務をする責任者です。

以下のような基準で防火管理者の設置基準が定められています。

  • 老人ホームなどの福祉施設で、収容人数が10人以上
  • 商業施設や病院など、不特定多数の人が出入りする建物で、収容人数が30人以上かつ延べ面積300㎡以上
  • 共同住宅や学校など、特定の人が出入りする建物で、収容人数が50人以上かつ延べ床面積500㎡以上

防火管理者になるためには所定の講習を受けて効果測定試験に合格すれば資格を受けられ、賃貸アパートの場合はオーナー自身が防火管理者になる場合がほとんどです。

消防設備の設置

消防設備とは、消火器、避難はしご、消火ポンプ、感知器などで、建物の用途や規模によってどの消防設備をどのように配置するのかが細かく定められています。

定期的な消防設備点検で消防設備が正しく設置されているか、機能しているかを確認していきますが、仮に消火器が一本でもあるべきところに足りないというような場合でも不良個所として報告しなければならなくなります。

基準を満たしていない建物のオーナーに対しては、消防署から指示が入ることもあり、それに従わない場合は刑罰を受ける可能性もあります。

消防点検の義務

消防設備が正しく設置されているか、機能しているかを点検し、それを消防署に報告することもオーナーの義務のひとつです。

一定の基準まではオーナー自身が点検し報告することも可能です。しかし、余程オーナーが消防設備に詳しくない限り正しく点検を実施したり報告書をまとめることは難しいです。

また建物の用途や規模によっては、消防設備士など専門資格を持っている者に点検をさせなければならないので、消防点検は業者に依頼するのが一般的です。

消防点検には二種類の点検があり、それぞれ期間が異なります。

  • 機器点検 … 半年に1回の期間で実施。簡単な操作で確認できる範囲のことを確認したり、正しく設置されているかなどを確認。
  • 総合点検 … 1年に1回の期間で実施。実際に起動させて正しく作動するかを確認。基本的に機器点検と同時に行い、点検項目も配線などまで詳しく点検。

つまり機器点検と、機器点検+総合点検が半年に1度行われます。

そして点検をして報告書を消防署に提出しなければなりません。

  • 消防点検の報告義務 … 特定防火対象物の場合1年に1回、その他の建物なら3年に1回。

不特定多数の人が出入りするような建物のことを特定防火対象物と言います。賃貸アパートなどは特定の人しか出入りしないので、その他の建物にあたります。

消防設備にはどんなものがある?

普段何気なく目に入る消防設備ですが、どのようなものが消防設備にあたるのでしょうか。

避難設備

避難設備は、非常時にその建物から避難するために設置されている設備で、「避難器具」と「誘導灯・誘導標識」に分けられます。

  • 避難器具 … 避難はしご、すべり台、避難タラップ、救助袋など。バルコニーなどに設置されており、非常時に簡単に降ろせて外部に脱出できるようになっています。
  • 誘導灯・誘導標識 … 緑色のピクトグラムが描かれた標識。蛍光灯やLEDで発光して視認性を高めているものを誘導灯、プラスチック製のパネルなどを誘導標識と言います。

いずれもよく見かけるものですが、実は消防設備であるため点検を実施しなければなりません。

避難はしごの点検は、避難はしごのフタの上に物が置かれていないか、降下地点に物が置かれていないか、「避難はしご」の標識が付いているか外観を確認します。

そして実際にはしごを降ろして体重をかけて強度を確認します。

避難誘導灯の点検は、正常に点灯しているか、障害物などで視認性が悪くないかという外観の確認と、非常時に蓄電池に切り替わるかを確認をします。

誘導標識は、正しい場所に設置されているか、汚れて視認性が悪くないかを確認します。

警報設備

警報設備の中で代表的なものが自動火災報知設備です。

住戸内や共用部分に設置された感知器が、熱や煙を感知すると受信機に信号を飛ばします。そして警報を鳴らしたり、ポンプを動かしたり、防火戸を起動するなど他の設備の起動を制御しています。

自動火災報知設備も建物の用途や規模によって設置基準が設けられており、賃貸アパートの場合は延べ面積500㎡以上であれば設置が義務付けられます。

消防点検では感知器を加熱試験器や加煙試験器で作動させ、受信機に信号が行くか、受信機の配線や蓄電池を点検していきます。

その他、非常ベルなどが正しく鳴動するかも点検していきます。

消火設備

消火設備は、その名の通り火を消す設備でスプリンクラー設備や消火栓設備、消火器などのことを指します。

消火設備は初期消火に役立つのでいざというときに作動しなければ意味がありません。

そのため、年に1回の総合点検では実際に放水してポンプが正常に作動するか、パイプが水圧に耐えられるかなども点検します。

消火器の点検は、正しく設置されているか、「消火器」のパネルがきちんと目視できるかに加え、消火器の種類によっては消火器の中身を開けて確認するものもあります。

消防点検を怠ったら

賃貸アパートを経営するためにオーナーにはたくさんやることがあります。

消防点検を手配するのもオーナーの大切な仕事のひとつです。

消防点検はなぜ行わなければならないのでしょうか。

いざというときに作動しない

消防設備も建物と同じく年をかさねるごとに経年劣化していきます。

消防設備の中には電気配線を使用するものや、パイプを使用するものもあるため配線の故障やパイプの劣化も消防設備が正しく作動するかどうかに関わってきます。

そのため、定期的に点検をして実際に起動してみなければ、いざというときに作動しない場合も大いに考えられます。

刑罰に問われる

火災が起こった場合、消防設備が未設置だった、正常に作動しなかったなどの理由でそこに住む居住者の命が危険にさらされてしまいます。

そのため、消防設備の未設置、点検未実施などはオーナーが刑罰に問われてしまう場合もあります。

実際に、平成13年に起きた新宿歌舞伎町ビルの火災では、点検はもちろん、消防設備の設置も不完全だったため、44人もの死者が出てしまいました。

その結果、ビルのオーナーなどの関係者5人は執行猶予付きの有罪判決となりました。

入居者の満足度が下がる

消防設備について気にしながら入居している入居者は珍しい方だと思います。

しかし、共用部分の廊下に設置してある消火器が20年前のもので埃をかぶっていたら、誘導灯の電灯が切れている様子を見たら、入居者はどう思うでしょうか。

もちろん、消防設備をきっちり整備するとそれだけコストもかかってしまいます。しかし、防災意識がしっかりしているというアピールは決してマイナスの要素にはなりません。

消防設備を整備しておくことは今後の賃貸経営にも良い結果をもたらします。

まとめ

賃貸経営をするにあたってオーナーは消防設備にもきちんと目を配る必要があります。

どのような消防設備があり、しっかりと期間内に点検を実施しているかをきちんと把握しておきましょう。

消防点検を怠ってしまうと、いざというときに入居者の被害が大きくなるだけでなく、オーナーも刑罰に問われる場合があります。

また、自身の経営しているアパートの消防設備をきちんと整備し、把握しておくことで防災意識が高いこともアピールできるため、入居者の満足度を上げることにもつながります。

 

著者プロフィール

前田 健太
大阪府池田市出身。立命館大学政策科学部卒業。
流行を追いかけるのが大好きでトレンドをつかむのが得意な一面と、歴史について学ぶのが好きで伝統を重んじる面を持ち合わせています。

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