宅建?宅建士?不動産業界基礎の基礎、「宅建」という言葉を大解説!
不動産に関する情報を集めているとき、「宅建」・「宅建業」・「宅建士」などと、一般常識のような形で(当サイトも含めて)いろいろな用語が当たり前のように登場しているときがあります。
しかし、宅建といきなり言われても、不動産や宅建といったものになじみのない方にとっては、今一つ曖昧なものと認識されているように思います。
そこで、
- 宅建がどのくらい一般的に浸透しているのか
- 不動産業界にとって宅建はどの程度重要なものなのか
ということをしっかり説明しておくべきだと思いました。
※特に、不動産業界に興味を持ち始めた方や、相続によってマンションのオーナーになることが決まった方などにもわかりやすく代表的な事項を解説することを心がけています。
Contents
資格?仕事?宅建とはどんなものか
宅建とは、ズバリ簡潔に表現するとすれば、不動産業に必須の国家資格です。
もう少していねいな表現に直すと、
「宅地建物取引業(いわゆる不動産業)で営業するためには必ず1名以上の宅地建物取引士(略して宅建士)が在籍していなければならない」
となります。
そして、宅地や建物の売買・賃貸などの取引を行う業、ということで、「宅地建物取引業」を略して宅建業といいます。
宅建業界以外の方からすれば、「不動産業者」とか「不動産屋」という言葉のほうがしっくりくるはずです。
そして、その宅建業を営むにあたっては、その開業の時点から宅地建物取引士(宅建士)が最低1名は必ず必要になります。
しかも、詳しくは後述しますが、宅建士にしかできない仕事(独占業務)があります。宅建士試験に合格し、正式に宅建士として免状の発行を受けている宅建士以外がその仕事をすると、法律違反になります。
これこそが宅建が必要と言われる理由であり、事実として高いニーズと人気を誇る国家資格であることの理由なのです。
つまり、一般的には
・単に「宅建」といえば、「宅建士の資格試験」を指している
・「宅建業」といえば、いわゆる不動産業を指している
という認識でOKです。
宅建?宅建士?違いはある?
宅地建物取引士を略して宅建士というのは上記の通りです。
しかし、以前からこのポジションにあった資格の名称は、宅地建物取引士ではなく「宅地建物取引主任者」というものでした。
そして長らく「宅建」とか「宅建主任者」という呼び名で浸透してきていたのですが、平成27年より、「宅地建物取引士」に資格の名称が変更されました。
これについては、”主任者から士業への格上げだ”と騒がれていました。
士業というと、弁護士や税理士などのように、いわゆる「サムライ業」への仲間入りだという意見です。
ただし、2020年度の現在、格上げであったかどうかについては、実際は
・特に新しく独占業務が増えたわけではない
・試験制度に変更もない
という現状ですから、今のところ特別格上げされたという実感はほぼない、というのが正直なところです。
実際、宅建士はどんな仕事をする資格?
宅建士には、宅建業において宅建士にしかできない仕事があります。それが独占業務です。
そして宅建士がいなければ、そもそも不動産業を立ち上げることもできないのは、先述の通りです。
つまり、不動産業の登竜門的な資格でありながらも、不動産業の実務においては基礎であり、大黒柱となりうるものだと言えます。
こう書くと、かなり難しい資格で、仕事も自分にはそう簡単にこなせるものではないと考える方も多いでしょう。
しかし、誠実さや向上心を持って丁寧に取り組むことができれば、特別難しい機械の操作や、弁護士並の強靭な法律知識を要求されるような過酷な内容は、宅建士の仕事内容にはありません。
では、もう少し具体的に、とあるケースを仮定しつつ、宅建士の仕事内容を説明します。
「今度引っ越しするマンションに、ずっと飼っている犬を連れていきたいのですが、犬と一緒に住めるお部屋はありますか?」
というお客様が、とある宅建業者(A社)に訪れました。
A社専任の宅建士であるBは、こちらのお客様のために、現地の下見などを重ね、犬と一緒に住むことができるというお部屋を見つけてきました。
犬と一緒に散歩に出かける住人をみかけ、確認してみたところ、「犬を飼ってもよい」との返事が得られました。
そこで、Bは重要事項説明書を作成し、本物件について無事お客様との契約締結までこぎつけました。
しかし、無事にお客様が新生活を始めて数週間後、
「大家さんからペットは禁止だと言われた」
と連絡が入りました。
宅建士には、賃貸・売買などの取引に入る前に、上記のようなトラブルを避けるため、
「お客様がどのような物件についてどういった条件の取引をこれから進めていくのか」
ということを説明する義務があります。
それが宅建士の行う重要事項説明(いわゆる重説)です。
上記の例であれば、Bがお客様に紹介する物件としては、
「SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)8階建て/2LDK/45㎡/8階・802号室」
というような内容をしっかりと説明する必要があるのはもちろん、
「猫と一緒に暮らして良いかどうか」
をしっかり確認し、その是非などを明記した重要事項説明書を作成する必要があります。
ただし、その重要事項説明書には、当然ながら間違いがあってはいけません。
・上記の事例では、同じマンションに住む住人が実際に犬を飼っていて、その住人が「飼ってもいい」と言った内容を鵜呑みにしてしまった
という落ち度が明確にあります。
基本的な賃貸仲介であれば、マンションのオーナー側に管理会社や宅建業者がいることがほとんどです。
となれば、管理会社などを経由でオーナーが「ペットを飼っても良い物件である」と確認することが基本中の基本です。
そのため、簡単に上記のような事例は起こり得ません(と思いたいです)。
基本的には、まじめ・誠実・ていねいにお客様や物件と向き合って仕事ができるならば、誰でも立派に宅建士として働くことができます。
実例:分譲マンションにおける規約違反を犯してしまうケース
ここで、少し踏み込んだ事例になりますが、実例として存在する宅建士の失敗ケースを交えて紹介します。
実は、分譲マンションにおいては、「ペットを飼ってよいお部屋かどうか」というところでトラブルが発生しがちです。
分譲マンションとは、1人1人の区分所有者が個別に所有するお部屋で構成されたマンションです。その1室が賃貸で出されている場合には、トラブルが起こりがちです。
分譲マンションでは、マンションごとに定められる「管理規約」という統一ルールが存在します。
その管理規約では明らかに「犬・猫などのペットの飼育を一切禁止する」と定められているにも関わらず、実際には犬・猫がマンション内で飼われている事例は確実に存在します。
これは、簡単にいえば、
「飼ってしまっているものは仕方ない。殺処分しろとまでは言わないから、もし今飼っている犬や猫が死んでしまったら、もう次は飼わないと約束してください。」
という特別なやりとりがあり、特例として例外的にペットの飼育を許可されているだけの話になっている可能性が高いです。(一代限りの特例)
この規約の条項や特例の存在があまり認知されていなければ、ペットを飼っても良い(≒禁止されていない)ものだという認識になりがちです。
管理会社やオーナーがそのような認識になっていることもあり得るのです。
そして、もしこのようなトラブルが起こってしまった場合には、大切なお客様に多大な迷惑や損害を与えてしまいます。
お客様が引っ越しを余儀なくされることもありますし、X不動産に対する損害賠償請求される可能性もあります。
つまり、宅建士がいい加減な仕事をしていると、お客様はもちろん、所属する宅建業者にも損害を与えますし、何一ついいことは起こりません。
もちろん、宅建士が丁寧な仕事を心がけていても、管理会社やオーナー側の落ち度のせいで、手痛いミスにつながるってしまうこともあります。
できる限りそんな事態に陥らないよう、まじめ・ていねいに仕事をすること。これまでの経験を踏まえ、いろいろなケースを想定してトラブルを未然に回避すること。
この2つが宅建士に課せられた代表的な使命であり、また宅建士の仕事の極意でもあります。
まとめ
- 「宅建」とは、基本的に宅地建物取引士(宅建士)」の資格試験を指す
- 「宅建業」とは、不動産業のことを指す
- 宅建士がいなければ宅建業が開業・営業できない
- 宅建士には重要事項説明という大切な独占業務がある
宅建・宅建士・宅建業など、よく似た用語がたくさんありますが、基本的には上記のことを押さえておけば、不動産業と宅建関連の仕組みは理解したも同然です。
宅建士には、お客様に迷惑をかけることのないよう、まじめ・ていねいに仕事を行うことが必要とされます。
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