【大阪の賃貸事情】敷金・礼金が高い?保証金って何?プロが解説!

大阪の敷金礼金

賃貸物件を探していて、家賃の他に敷金・礼金と呼ばれる項目が目につきます。

大抵の賃貸物件には敷金・礼金が設定されていますが、どのような意味があるのかを理解しておきましょう。

また、東京に比べると大阪の敷金・礼金は高額であるなどのイメージを検証していくとともに、大阪をはじめとした西日本方面ならではの商習慣「保証金・敷引き」方式についても解説します。

こういった賃貸契約にまつわるお金について理解を深めておいて、損をしない賃貸物件探しを進めていきましょう。

  • 敷金・礼金ってなに?と疑問を持った方
  • これから大阪に引っ越そうと考えていて敷金・礼金の相場を知りたい方
  • 保証金ってなに?と気になっている、東日本から大阪などの西日本に引っ越しを考えている方

におすすめの記事ですので、是非読んでみてください。

敷金・礼金とは?

賃貸物件を探しているときによく目につくのが「敷金・礼金」です。

賃貸契約をするときには必ずと言っていいほど登場しますが、敷金や礼金にはどのような意味があるお金なのかを正しく理解しておきましょう。

「敷金」とは

敷金とは、家賃以外に入居者さんから支払いの義務が発生した時に、貸主側が充当するためにオーナーさんに預けておくお金です。

例えば、入居者さんが何らかの理由で家賃の支払いを滞らせた場合、オーナーさんは予め支払ってもらった敷金からその家賃分を補填します。

もちろん「今月分の家賃は敷金から補填してもらったから解決」というわけではなく、家賃は遅れても毎月分をしっかり払わなければなりません。

また、もうひとつの敷金の使い道として代表的なものが退去時の原状回復費用です。

基本的に賃貸物件は借りものなので、返すときには借りた時の状態にしなければなりません。

これを「現状回復」と言い、契約書上では解約に関する文言として「現状に復すること」などと記載されている場合があります。

ある程度の経年劣化や通常損耗は仕方がありませんが、故意の破損や手入れを行ったことで生じる汚損などの原状回復の費用は敷金から補填されます。

しかし、支払っていた敷金の範囲内で原状回復の費用がまかなえたのであれば、余った敷金は返ってくる場合もあります。

「礼金」とは

礼金とは、敷金のように退去時に返って来るわけではなく、一度払ったら払いきりのお金です。

「これから散々家賃を払っていくのになんで礼金なんか払わなければならないんだ」

と嘆く声もよく耳にします。

しかし、オーナーさんの立場になって考えると、たとえば居住者が入れ替わるごとの部屋のリフォーム、そして入居者募集の広告を出す必要など様々なお金がかかります。

他にも、たとえ誰も住んでいない間でも共用部分の清掃、設備の点検や更新など何かと費用がかかってしまうため、礼金を充当させて少しでも回収したいところです。

入居者さんからすれば、敷金は退去時に返ってくるお金ですが、礼金は返ってこないので当然少ないに越したことはありません。

近年では敷金・礼金ゼロの物件なども増えていますが、オーナーさんの立場に立てば礼金はあってしかるべきものであるとも考えられます。

大阪の敷金・礼金は高い?

これから大阪に引っ越そうと考えている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、「大阪は敷金・礼金が高い」などの噂話を聞いたことがあるかもしれません。

同じ不動産業界でも地域によって商習慣に違いがあるので、地域ごとに相場や傾向を調べておく必要があります。

大阪の敷金・礼金事情について解説していきます。

東京と大阪、敷金・礼金の相場を比較

実際に東京と大阪で敷金と礼金の金額に差があるのでしょうか。

結論から言いますと、大阪の敷金・礼金が高いという状況は解消されつつはあるものの、実際に東京と比べると高いのは事実です。

賃貸情報サイトなどを見てもらったらわかると思いますが、東京の賃貸物件は敷金・礼金ともに多くても1か月分程度が設定されている一方、大阪では敷金・礼金ともに1~1.5か月分、礼金に関しては2か月分や3か月分が設定されている物件も多く見受けられます。

また、「敷金・礼金ゼロゼロ」の物件の件数についても、時勢や季節によって異なりますが東京の方がやや多くなっています。

さらに「敷金のみゼロ」で設定されているも東京・大阪ともに増加しており、全体的な敷金・礼金は減少傾向にあると言えます。

しかし大阪では敷金・礼金の設定が高い反面、月々の家賃相場としてはやはり東京よりもはるかに安いのも事実です。

大阪と比べて最初に払う初期費用が安いからと言って、必ずしも東京に住む方がお得であるわけではありません。

部屋を探すときの理想は敷金1か月・礼金1か月

引っ越し後も家具を買うなど何かとお金がかかるので、新居の初期費用を抑えられるかどうかも物件選びにおいて重要です。

しかし、ただ安ければ良いわけでもなく、私の考える一番理想的な敷金・礼金の相場は「敷金1か月・礼金1か月」です。

敷金に関しては、基本的には退去時に入居者さんに返金されるお金です。

また、仮に退去時に部屋を傷つけてしまっていた場合、予想外の高額の費用を請求されるリスクも減るため、ある程度の敷金は設定されていた方が、入居者さんもオーナーさんも共に安心です。

一方、礼金は一度支払えば返ってこないお金なので、礼金は少ないに越したことはありません。

しかし、だからと言って礼金ゼロで募集している物件に絞って探すのもあまりおすすめしません。

そういった物件には「礼金を引き下げないとなかなか部屋が埋まらない何かしらの理由がある」と考えるのが良いでしょう。

もちろんそれが「駅から遠い」「築年数が経っている」などの理由である場合もありますし、もっとややこしい問題を抱えている可能性もあります。

それらを加味すると、初期費用の安さだけで「敷金・礼金ゼロ」の物件を探すよりも、「敷金1か月・礼金1か月」が最もバランスの良い募集条件であると考えられます。

交渉で敷金・礼金を抑えられる場合も

毎月の継続的な費用である家賃の値下げはなかなか難しくとも、敷金・礼金に関しては交渉で引き下げてもらえる可能性が高い項目です。

敷金については1か月分(もしくは無し)と設定している物件も多いのですが、大阪では特に礼金については2カ月分や3か月分くらいは設定されています。

しかし、礼金はオーナーさんのさじ加減ひとつでもあると言えるので、「空室のままにしておくよりも礼金を下げてでも早く入居してもらいたい」と判断すれば交渉に応じてくれる場合もあります。

オーナーさんとこういった交渉をしてくれるのは不動産屋で、直接お客さんが交渉するわけではありません。

そういった交渉をお客さんの代わりに行うのが不動産屋の役目なので、しっかりと相談してみましょう。

面倒がって交渉すらしてくれないのであれば、思い切って担当者を変えてもらったり、不動産業者自体を変えてみたりするのもひとつの手と言えるでしょう。

「保証金」とは?敷金との違いは?

賃貸情報を眺めているときや、不動産屋の店舗前に貼り出されている広告を見た時に「敷金」の代わりに「保証金」という項目を見たことがあるでしょうか。

大阪をはじめとした関西の不動産屋さんでは特に「保証金家賃の1か月分」といった書き方をされていたりしますが、保証金とはなにかを解説していきます。

敷金または保証金はどのような意味があるか

まず敷金または保証金とは一体どういうお金で、何故支払わなければならないのでしょうか。

『敷金とは』の項目で解説しましたが、さらに細かく敷金または保証金の性質を交えて解説していきます。

民法では、「敷金」の定義として以下のように定められています。

いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。(民法622条の2第1項)

要するに、家賃とは別に入居者さんからオーナーさんに、「何かしらの支払い義務が生じたときに充当するお金を先にもらっておきますよ」という意味があります。

敷金または保証金は、主に家賃の滞納、および原状回復の費用として充当されるものです。

つまり何かあったときのことを保証してもらうためのお金なので、「保証金」と読んだ方がピンと来るのでそう呼んでいる地域もあるようです。

法改正で「敷金」の定義がはっきりした

2017年、およそ120年ぶりに大幅な民法改正が行われ、2020年4月1日より施行されています。

民法の改正では、時効や法定利率などに大きく変更が加えられ、不動産業界に限らず様々な商習慣にも影響を与えました。

その中で、敷金についての解釈をより詳しく説明するといった内容も含まれていました。

上記民法の引用部分にある敷金の条文に「いかなる名目によるかを問わず」と定義が新しく追加され、保証金と呼んでいても使い道が敷金と同じであればそれは敷金であるとみなされるようになりました。

つまり「敷金」も「保証金」も、ともに意味は同じであることがはっきりと定義づけられ、今では「保証金」と呼ぶ業者も減少傾向にあります。

東日本と西日本の言い方の違いで意味は一緒

実は「敷金」や「保証金」は地域によってどちらで呼ぶかが異なるだけで、意味は全く同じです。

さらに民法改正によって敷金の定義は統一され、全く同じ意味とみなされているため現在では「保証金」を使う不動産業者は減少しています。

地域によって呼び方が違うなんてただただややこしいのですが、意味がわかってしまえば怖いものではありません。

しかし、居住用の賃貸物件ではなく、例えば貸店舗などのテナントの賃貸契約においては、大阪をはじめ西日本の不動産屋さんでは保証金と呼ぶ場合も多いようです。

事業用の物件だと商売がうまくいかなくなったからと原状回復をせずに逃げてしまう方も多いそうで、それを防止する意味でも敷金よりも保証金とあえてビジネスライクな言い方が好まれているのかも知れません。

「保証金・敷引き」方式とは?

さて、大阪など西日本でよく使われる言葉である「保証金」ですが、保証金自体は敷金と同じ意味なのでそこまで警戒する必要はありません。

しかし、保証金とセットでよく用いられるのが「敷引き」です。ここでは保証金と敷引きの関係について解説していきます。

保証金・敷引き方式の仕組み

おさらいになりますが、「敷金」は家賃滞納時の補填や原状回復の費用に充てられるものでした。

一方、「敷引き」は、契約時にすでに敷金の中からいくらかの金額が引かれると明記されています。

  • 家賃10万円
  • 保証金3か月分(30万円)
  • 敷引き1か月分(10万円)

例えばこのような物件であった場合、退居時には必ず保証金30万円の中から敷引きとして10万円が引かれ、最大で20万円が返還されます。

保証金・敷引きが設定されている場合は礼金がないため、返金されない性質から敷引き分は礼金と同じようなものであると言えます。

敷引きの場合は経年劣化・通常損耗が考慮されない

賃貸物件は「人が住んでいれば当然汚れて劣化するもの」なので、経年劣化や通常損耗が考慮された上で敷金がどれだけ返還されるかが決まります。

壁紙が少々痛んでいる、またはお風呂場に少々カビが繁殖しているなどの損耗程度では基本的に敷金は差し引かれるものではありません。

しかし、「敷引き」の場合はどのような問題があるのでしょうか。

上記のような条件の物件の場合、仮に経年劣化や通常損耗も目立たず綺麗な状態であったとしても、必ず10万円が敷引きとして差し引かれてしまいます。

経年劣化や通常損耗の度合いによらず、原状回復費用の金額が決まっているのは不当ではないか訴える方が出てきました。

こうした敷引きをめぐる裁判は過去に何度も行われてきました。

  • 「35万円のうち敷引きが30万円は高額すぎるので無効」(2007年京都地裁)
  • 「家賃2カ月分のうち1カ月を敷引きとするのは不当に高額とは言えないので有効」(2009年横浜地裁)

このように、条件によってもその判断は分かれていますが、明確な線引きはありませんでした。

しかし、また別の事案について2011年の大阪最高裁において、

  • 契約時に敷引きを明示しお互い同意している
  • 他に礼金などの負担がないのであれば不当な高額請求とは言えない

といった理由から敷引きについての契約は基本的に有効であると判断されました。

しかし、あらかじめ「敷金・礼金」として契約していればわざわざこのようなトラブルは起きなかったかもしれません。

もちろんトラブルは無いに越したことはないので、ややこしい言い方の「保証金・敷引き」を使わずに「敷金・礼金」で統一している不動産業者がほとんどです。

もし部屋探しをしていて、希望した物件が「保証金・敷引き」方式での契約だった場合は、敷金と礼金に置き換えてしっかりと内容を把握してから契約しましょう。

まとめ

  • 敷金は部屋を綺麗に使えば返ってくるお金、礼金は返ってこないお金
  • 大阪の敷金・礼金の相場は東京に比べるとやや高額ではあるものの、月々の家賃はやはり大阪が断然安い
  • 東日本では「敷金」、大阪などの西日本では「保証金」と呼び方が違うだけで意味は全く一緒
  • 「保証金・敷引き」方式で契約するときは退去時のトラブルに注意

賃貸契約は普通に生活を送っている方なら一度は経験しているかもしれません。

しかし、意外とわけもわからず請求されているお金も多いので、ある程度自身で知識をつけておかなければ悪い不動産業者に損をさせられてしまう可能性もあります。

敷金・礼金だけではなく、その他の費用やその内訳もしっかりと確認して理解しておきましょう。

著者プロフィール

前田 健太
大阪府池田市出身。立命館大学政策科学部卒業。
流行を追いかけるのが大好きでトレンドをつかむのが得意な一面と、歴史について学ぶのが好きで伝統を重んじる面を持ち合わせています。

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