不動産購入の際のクーリングオフ!適用条件と注意点は?徹底解説します!
突然の勧誘や訪問販売などで、自分の意とは異なる契約をしてしまった際、消費者の保護のためにあるのがクーリングオフ制度です。
不動産購入時にもクーリングオフ制度はありますが、他の場合と異なります。
宅建業法で定められたいくつかの適用条件があるのです。
この記事では、不動産購入の際の
- クーリングオフ制度の適用条件
- 申込や契約の場所について
- クーリングオフをする方法
- クーリングオフの注意点
を解説します。
不動産購入のトラブルに備えておくために、クーリングオフについて知っておくことは重要です。
不動産の購入をご検討中の方、必見です。
Contents
クーリングオフ制度とは
消費者が急な勧誘や訪問販売などで、冷静に判断ができないままに契約の申し込みをしてしまうことがあります。
その際、消費者に頭を冷やし熟考する期間を与え、一定期間内であれば、一方的に売買契約を解除できる。
これがクーリングオフ制度です。
不動産業界のクーリングオフ
不動産業界においても、クーリングオフ制度があり、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)にも定められています。
宅建業法では、売主が不動産業者で買主が不動産業者でないことが前提です。
不動産に関する知識が少ない一般の消費者を保護し、またトラブルなく不動産取引が行われるように制定されています。
不動産購入でのクーリングオフの適用条件
売主が不動産業者で買主が不動産業者でないことが、不動産でのクーリングオフの適用の前提と前述しました。
つまり、不動産業者同士や一般人同士での不動産取引ではクーリングオフは適用されません。
この他にも適用条件があるので、ご紹介していきたいと思います。
①契約や申し込みを事務所等以外の場所で行った場合
宅建業法第37条2項で
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
と、定められています。
では、まず条文で出てくる“事務所等”の場所とは、どのような場所でしょうか。
クーリングオフができない事務所等とは
クーリングオフの適用外となる事務所等は以下のような場所をいいます。
- 不動産業者(売主)の事務所
- 不動産仲介業者の事務所
- モデルルーム(新築マンションの場合)やモデルハウス(新築戸建て分譲の場合)などの案内所
- 買主側の都合で指定した買主の自宅や勤務先
上記の場所で申込や契約を行った場合は、宅建業法の定める”事務所等”で行ったとなります。
ですので、クーリングオフの適用外となり、クーリングオフは利用できません。
クーリングオフができる事務所等以外の場所
クーリングオフの適用となる事務所等以外の場所は以下のような場所をいいます。
- 別荘地などの売買におけるテント張り、仮設の小屋などの一時的な建物
- 喫茶店やレストランなど
- 売主側の都合で指定した買主の自宅や勤務先
買主の自宅や勤務先は、買主都合で売主を呼び出した場合と、売主都合で伺った場合でクーリングオフの適用か否かが変わってきます。
また、契約を行える場所として“案内所”があります。
この案内所は、土地に定着していない建物内に設置されているかで変わります。
モデルルームやモデルハウスはクーリングオフの適用外になります。
しかし、土地に定着していないテント張りや仮設小屋の案内所はクーリングオフの適用条件になります。
②クーリングオフの説明を受けてから8日以内である場合
クーリングオフを行うには8日以内に行わなければならないという期限があります。
まず、購入の申込、または契約を行った際に、書面にてクーリングオフの説明を受けます。
その書面には、
- 買受の申込者、または買主の氏名
- 売主である宅建業者の商号又は名称・住所・免許証番号
- 告げられた日から起算して8日を経過するまでの間は、宅地・建物の引き渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払った場合を除き、書面によりクーリングオフを行うことができる。
- クーリングオフがあったときは、宅建業者は、それに伴う損害賠償または違約金の支払いを請求することができないこと。
- クーリングオフは、その旨を記載した書面の発した時に効力が生じること
- クーリングオフがあった場合において、その買受の申込または売買契約の締結に際し手付金その他の金銭が支払われているときは、宅建業者は、遅滞なくその全額を返還すること
が、記載されています。
起算して8日を経過するまでとは、例えば月曜日に書面で告げられた場合は、翌週の月曜日まで可能となります。
また、書面によりクーリングオフを行うとは、クーリングオフする旨の書類を発する(発送する)ことです。
クーリングオフの効力は書面を発した時に生じます。
つまり、クーリングオフの説明を受けた日から8日以内に書面を発せばよく、書面が売主に届くのが8日を過ぎても問題はありません。
ちなみに、宅建業者からクーリングオフの説明がなかった場合は、決済・引渡しまでの間、クーリングオフは可能です。
③引き渡しを受けていない・代金を全額支払っていない場合
前述のクーリングオフの説明の書面にもありますが、
- 宅地・建物の引渡しを受けていない場合
- 代金を全額支払っていない場合
の時のみ、クーリングオフは適用されます。
また、不動産売買においては代金を2回に分けて支払います。
契約時に手付金として代金の一部を支払い、決済時に残りの代金を支払うのが一般的です。
一部支払っている場合、クーリングオフ適用後に全額返金されます。
クーリングオフの方法
では、実際にクーリングオフを行うにはどのようにすればよいのでしょうか。
前述しましたが、クーリングオフの書面を発するとは、書面を発送することを言います。
メールや電話ではできません。
クーリングオフの書面は郵便局にて内容証明郵便で行うのが一般的です。
内容証明郵便は「いつ、どのような内容の文書を誰から誰宛に差し出した」かを証明してくれます。
ですので、売主に通知を受けてないと嘘をつかれないために内容証明郵便で発送しましょう。
クーリングオフの効果・注意点
クーリングオフの通知を受けた不動産業者は、すでに受領している手付金やその他の金銭を速やかに返還しなければなりません。
この際、申込の撤回に伴う損害賠償や違約金の支払いの請求は一切できません。
また、不動産業者は
- クーリングオフさせないために妨げる・脅迫する行為
- すでに受領している金銭の返還の拒否
はクーリングオフの規定に違反し、処分を受けます。
他にも、
- 買主にクーリングオフをしない旨の合意を取り付ける行為
- クーリングオフができない旨を告げる行為
- クーリングオフをするには損害賠償や違約金が発生するなどと告げる行為
も、規定に違反します。
契約の際や、クーリングオフの説明書面に書かれていないかまた説明を受けていないか、注意が必要です。
もし、このようなトラブルがあれば、消費者センターや各自治体の窓口に相談しましょう。
まとめ
- 購入の申込や契約する場所がクーリングオフの適用かどうか確認する
- 買主の自宅や勤務先で行う際は、売主買主どちらの都合で指定したか
- クーリングオフは書面にて行い、内容証明郵便で発送する
- クーリングオフで買主に不利な特約は無効
不動産の購入を考える際に、あらかじめクーリングオフについて理解しておくことは、トラブルに備えることができます。
特に申込や契約の場所は注視しておくとよいでしょう。
不動産の購入をお考えの方のご参考になれば幸いです。
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